*当ブログは不動産投資を推奨するものではありません。
不動産投資の確定申告方法を知りたい方は必見。
この記事では、サラリーマンが不動産投資をしたら必ず行わなければいけない確定申告の初年度のやり方を実体験をもとに解説します。
「不動産投資の確定申告て何すればいいの?」
「もらえる還付金はしっかり受け取りたい」
「経費計上や減価書客が分からない」
不動産投資をしている人は、たとえ副業でも確定申告をする義務があります。
確定申告は正しく申請しないと、受け取れる還付金の額が少なくなったり申告漏れになったりするので要注意。
記事の内容
- 確定申告は必要?
- 確定申告のやり方
- 提出期限と方法
- 計上できる経費
- 節税のコツ
- 確定申告の注意点
不動産投資の初心者でも、減価償却費の計算方法や申告書の書き方などが詳しく分かりますよ。
不動産投資の確定申告手順
- 必要なものを準備
- 申告書類をダウンロード
- 減価償却費の計算
- 収支内訳書の記入
- 確定申告書Bの記入
- パソコン入力して提出
主に計上できる経費
- 管理費
- 修繕費
- 減価償却費
- 交通費
- 固定資産税
- 都市計画税
- 地震保険
- 火災保険
- 借入金利息
- 司法書士への報酬
節税するコツ | 確定申告の注意点 |
経費を把握する | 所得は必ず申告する |
青色申告する | 記入ミスしない |
法人化する | 期限内に手続きする |
目次
確定申告は必要?
まずお伝えしたいことは「サラリーマンで年間20万円以上の不動産所得を得ている場合、確定申告をする義務がある」ということ。
不動産所得 = 収入総額 - 必要経費
確定申告は必ずしなければならないのでしっかり読んでくださいね。
注意
もし確定申告をしなかったら、あとで追徴課税を払うことになります。
過去にさかのぼって税額と罰金を「即現金」で支払わなければならず、できないと自宅などが差し押さえされます。
確定申告には白色申告と青色申告の2種類あります。
不動産投資でサラリーマン大家になった初年度の確定申告は「白色申告」をします。
投資用マンションなどの不動産が拡大し所得が増えてきたら「青色申告」にしましょう。
白色申告と青色申告の違い
白色申告 | 簡単 |
還付額が少ない | |
青色申告 | 面倒 |
還付額が多い | |
開業届を提出済み | |
青色申告承認申請書を提出 |
ちなみに2年目以降は前年度に申告した申告書の写しが届きます。
ただし「e-Tax」で申告した場合はハガキでの通知は届きません。
確定申告のやり方
確定申告の手順
- 必要なものを準備
- 申告書類をダウンロード
- 減価償却費の計算
- 収支内訳書の記入
- 確定申告書Bの記入
- パソコン入力して提出
僕のような方は同じ書き方になります。
- 会社員
- 生命保険加入
- 不動産投資一年目
- 独身(扶養家族なし)
扶養家族がいたり生命保険未加入の方でも、不動産に関する確定申告は同じです。
違いは最後に扶養控除や生命保険控除が入るかどうかだけ。
では順番に見ていきましょう。
手順①:必要なものを準備
サラリーマンが不動産所得で初めて確定申告をする場合の必要なものをまとめました。
必要なもの
- 印鑑
- 源泉徴収票
- 収支内訳書
- 確定申告書B
- 各種領収書や証明書
- マイナンバーカード
税務署に行って手続きする際に不安な方は「登記権利証」「不動産売買契約書」「各種支払いの領収書すべて」を持っていくと安心ですよ。
手順②:申告書類をダウンロード
続いて国税庁PDFダウンロードページから必要な用紙(収支内訳書と確定申告書B)をダウンロードしましょう。
ダウンロードして印刷したら下書きしておきましょうね。
税務署では新しい用紙にきれいに記入しパソコンに入力します。
最後にチェックしてもらい、控えを受け取ったら終了という流れになりますよ。
手順③:減価償却費の計算
不動産投資の確定申告で一番大変なのが「減価償却費」の計算です。
減価償却とは固定資産としての投資物件の価値を、年月に合わせて減少させていく手続きのことです。
減価償却費の計算
減価償却費=建物取得価額×耐用年数に応じた償却率×取得から年末までの月数
減価償却の計算に必要な書類
- 売買契約書
- 登記簿謄本
- 固定資産税評価証明書
- 仲介手数料の支払い明細資料
- 固定資産税の支払い明細資料
減価償却の計算でのポイント
土地価格/建物価格 | 不動産投資では「土地」と「建物」を分けて建物価格のみ減価償却する |
定額法/定率法 | 平成28年4月1日以降に取得した物件は全て「定額法」での計算 |
事業用不動産/非事業用不動産 | 家賃収入を得るなど投資目的の場合は「事業用不動産」として計算 |
法定耐用年数 | 減価償却資産の耐用年数等に関する省令で定められている |
建物取得価額
取得価額は土地と建物を按分して求めます。
「売買契約書」に記載があればそのまま計算、なければ「固定資産税評価証明書」から計算します。
物件購入額600万の場合
*建物固定資産税評価額200万、土地固定資産税評価額280万と記載ありの場合
- 建物取得価額=600万×200万/480万=250万
- 土地取得価額=600万-250万=350万
固定資産税評価額も分からない場合は、売買契約書等に記載されている消費税額から逆算して求めます。
消費税は建物だけに課税されて土地にはされません。
物件購入額600万の場合
*消費税額:25万と記載ありの場合
- 25万÷消費税率(10%)=250万
- 建物取得価額:250万
- 土地取得価額:350万
建物と土地の価格が分かったら、さらに建物を躯体(くたい:建物部分)と付属設備に分けます。
躯体と設備で耐用年数が異なるので同時に償却できないためです。
躯体と設備の按分は契約書類に記載されている場合もありますが、記載がない場合は不動産会社や税理士さんに確認しましょう。
耐用年数に応じた償却率
住宅用不動産の耐用年数や償却率は「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に基づいて細かく定められています。
構造 | 耐用年数 | 償却率 |
鉄筋コンクリート/鉄骨鉄筋コンクリート | 47年 | 0.022 |
鉄骨造り(厚さ4mm以上) | 34年 | 0.038 |
鉄骨造り(厚さ3~4mm) | 27年 | 0.082 |
鉄骨造り(厚さ3mm以下) | 19年 | 0.053 |
木造 | 22年 | 0.046 |
耐用年数を超過している中古物件の場合は、経過年数から耐用年数を計算します。
物件の法定耐用年数すべて経過している
耐用年数=法定耐用年数×20%
物件の法定耐用年数の一部を経過している
耐用年数=法定耐用年数-経過年数+経過年数×20%
計算で求められた端数は切り捨て、2年未満は2年となります。
年数が経過している中古物件の場合は、国税庁ホームページの「減価償却資産の償却率表」に記載されている償却率から割り出しましょう。
取得から年末までの月数
例えば6月に物件を購入した場合は、6~12月の7か月間を最後にかけて割り出します。
減価償却費の計算
減価償却費=建物取得価額×耐用年数に応じた償却率×取得から年末までの月数
計算式に当てはめてみましょう。
*建物取得価額250万円の鉄筋コンクリート(RC)を6月に購入した場合
250万円×0.022×7=385,000円
減価償却費:385,000円
手順④:収支内訳書の記入
減価償却費の計算が終わったら、2枚の収支内訳書(不動産所得用)に記入していきます。
収支内訳書1枚目(不動産所得用)
記入した項目
収入金額 | 賃貸料:① | 支払い調書の年間家賃収入額 |
計:⑤ | ⓵~④の合計額 | |
経費 | 減価償却費:⑦ | 計算で求めた金額 |
借入金利子:⑩ | ローン支払い利息(建物、該当月数のみ) | |
租税公課:㋑ | 不動産取得税・固定資産税 | |
修繕費:㋩ | 外壁塗装などの費用 | |
雑費:㋭ | 交通費など | |
小計:⑪ | その他の経費の合計 | |
経費計:⑫ | 経費の総額 | |
専従者控除前の所得金額:⑬ | 収入計-経費計 | |
所得金額:⑮ | ⑬-専従者控除 |
他にも「礼金・更新料」などの収入や「損害保険料」などの経費があれば記入しましょうね。
続いて2枚目の書き方を見ていきましょう。
収支内訳書2枚目(不動産所得用)
2枚目は減価償却費の計算を記入します。
減価償却資産の名称等に物件名(躯体、設備)と分けて記入し、先ほどの減価償却で求めた数字を入れていきましょう。
「面積」「取得年月」「取得価額」「償却の基礎になる金額」「償却方法(定額)」「耐用年数」「償却率」の科目の記載が終われば収支内訳書は完了です。
手順⑤:確定申告書Bの記入
確定申告用紙はAとBの2種類ありますが、不動産所得の場合はBになります。
記入した収支内訳書をもとに、申告書Bの第1表から記入していきましょう。
確定申告書B:第1表
印刷される項目
収入金額等 | 不動産:㋒ | 年間の総額家賃収入 |
給与:㋕ | 源泉徴収票の支払金額 | |
所得金額 | 不動産:③ | 収支内訳書の合計額 |
給与:⑥ | 源泉徴収票の手取り額 | |
合計:⑨ | ここまでの合計 | |
所得から差し引かれる金額 | 社会保険料控除:⑩ | 源泉徴収票の社会保険料 |
生命保険料控除:⑫ | 生命保険に加入している場合 | |
基礎控除:⑳ | 所得に対する控除 | |
⑩~⑳の合計:㉑ | 合計額 | |
㉑~㉔の合計:㉕ | 合計額 | |
税金の計算 | 課税される所得金額:㉖ | 所得金額合計⑨-差し引かれる金額合計㉕ |
㉖に対する税額:㉗ | ㉖に対する税額 | |
差引所得税額:㊳ | ㉗-各種控除額 | |
再差引所得税額:㊵ | ㊳-災害減免額㊴ | |
復興特別所得税額:㊶ | ㊵×記載の% | |
所得税及び復興特別所得税:㊷ | ㊵+㊶ | |
源泉徴収税額:㊹ | 源泉徴収票の税額 | |
申告納税額:㊺ | ㊷-㊸-㊹ | |
還付される税金:㊽ | ㊺-㊻ | |
還付される税金の受取場所 | 還付金をもらう口座情報 |
地震保険に加入している方は⑬も記入しましょう。
「課税される所得金額に対する税額」の計算は、所得額によって計算方法が違います。
詳しくは国税庁ホームページにある以下の表を参考にしてみてください。
課税される所得金額「C」 | 税額の計算方法 |
1,000円~1,949,000円 | 「C」×0.05 |
1,950,000円~3,299,000円 | 「C」×0.1-97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円 | 「C」×0.2-427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円 | 「C」×0.23-636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円 | 「C」×0.33-1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,999円 | 「C」×0.4-2,796,000円 |
40,000,000円~ | 「C」×0.45-4,796,000円 |
「扶養控除:⑲ 」は、僕のように扶養家族がいない場合は記入不要です。
確定申告書B:第2表
印刷される項目
所得の内訳 | 源泉徴収の会社名、収入金額、税額 | |
㊹:源泉徴収額税額の合計 | ||
所得から差し引かれる金額 | 社会保険料控除:⑩ | 源泉徴収記載額 |
合計 | 支払い保険料の合計額 | |
生命保険料控除:⑫ | 年末調整の保険料控除額 |
上記のチェックポイントは最低限の箇所です。
企業共済や医療費控除、特例があるなど個人の状況によって数字の入る箇所はさらに多くなりますよ。
手順⑥:パソコン入力して提出
全ての必要書類に記入が終わったら、その数字をもとにパソコン入力していきましょう。
入力後は税務署なら用紙を印刷して提出、自宅なら郵送かe-Taxで電子申告となります。
地域によってはパソコン入力は不要で、用紙だけ提出すればいいところもあります。
またコピーをとれない地域もあるので、提出前にコピーをとっておきましょうね。
確定申告の提出期限と方法
確定申告書の提出期限
2月16日~3月15日
1/1~12/31の期間の売り上げや経費などを集計して、翌年の期間内に確定申告しましょう。
社会状況によって期間が延長する場合もあります。
確定申告書の保管期限
不動産投資に関しての領収書や請求書、その他の帳簿 | 5年間 |
収入額や経費を記載した簡単な帳簿 | 7年間 |
確定申告書の提出方法
- 郵送
- 税務署に持ち込み
- e-Taxで電子申告
上記3パターンあります。
僕は初年度は税務署に早めに行きましたが、相談者も多いので早めに行くか「e-Tax」がおすすめですよ。
やり方が分かっていれば税務署での手続きもそんなに時間はとられません。
不動産投資で計上できる経費
実際に僕が不動産投資一年目に計上した経費です。
- 管理費
- 修繕費
- 減価償却費
- 交通費
- 固定資産税
- 都市計画税
- 地震保険
- 火災保険
- 借入金利息
- 司法書士への報酬
修繕費に関しては「避難階段の取り付け」「用途変更のための模様替え」などは該当しないので気を付けてくださいね。
確定申告で還付される仕組み
確定申告で税金が還付される仕組みを流れにまとめます。
還付される流れ
- 1年間サラリーマンとしての給料から税金が払われてる
- 不動産投資では赤字
- サラリーマンの給料と不動産投資の赤字を合算できる
- 合算したら1年間の収入は減った
- 去年多く払った税金を返してもらう
不動産投資では減価償却費という実際に払っていない経費を計上。
このため物件を購入した1年目は、計算の上ではほぼ赤字計上になります。
この赤字の損失とサラリーマンとしての収入を「損益通算」できるので還付される仕組みとなります。
不動産投資で節税するコツ
不動産投資で節税するコツ
- 経費を把握する
- 青色申告する
- 法人化する
コツ⓵:経費を把握する
先ほど説明した減価償却費や固定資産税はもちろん、他にも「不動産投資セミナーの参加費用」「交通費」なども経費として計上できます。
不動産投資に関する費用は基本的に経費計上できますが、不安な方は税理士さんなどに相談してみるといいですよ。
コツ②:青色申告をする
青色申告は複式簿記のため手間がかかり難しいですが、白色申告よりも節税効果が高くなり還付金が多く戻ってきます。
青色申告は計上できる費用科目が多く、最大65万円まで控除を受けられるからです。
青色申告をする条件
- 事業所得、山林所得、不動産所得のどれかがある
- 開業届を提出
- 青色申告申請書を提出
初年度や所有物件が少ない場合は白色申告で十分です。
所有物件や不動産所得が増えてきたら節税効果の高い青色申告を検討してみてください。
コツ③:法人化する
個人より法人化して確定申告する方が節税しやすくなります。
個人の場合は「累進課税」なので、所得が増えれば納税額も増えますよね。
しかし法人なら所得が増えても税率は基本的に変わらないので、納税額を少なくすることができます。
確定申告の注意点
確定申告の注意
- 所得は必ず申告する
- 記入ミスしない
- 期限内に手続きする
注意点⓵:所得は必ず申告する
所得を申告しないと悪質な所得隠しとみなされ追徴課税が課せられます。
「重加算税」や「延滞税」が発生するので所得は必ず申告しましょう。
注意点②:記入ミスしない
記入した金額を間違えると再提出の手間や余計な税金が発生します。
提出前にしっかり確認しておきましょうね。
ミスして納税額が多かった場合 | 新たに申告書を作成して再提出 |
ミスして納税額が少なかった場合 | 過少申告加算税が発生 |
注意点③:期限内に手続きする
確定申告は必ず期限(基本的には2/16~3/1)を守りましょう。
期限内に申告しないと「無申告加算税」がかかる場合もありますよ。
【不動産投資一年目の確定申告のやり方】副業大家が還付金をもらう方法:まとめ
では不動産投資の確定申告のやり方についておさらいします。
不動産投資の確定申告手順
- 必要なものを準備
- 申告書類をダウンロード
- 減価償却費の計算
- 収支内訳書の記入
- 確定申告書Bの記入
- パソコン入力して提出
主に計上できる経費
- 管理費
- 修繕費
- 減価償却費
- 交通費
- 固定資産税
- 都市計画税
- 地震保険
- 火災保険
- 借入金利息
- 司法書士への報酬
節税するコツ | 確定申告の注意点 |
経費を把握する | 所得は必ず申告する |
青色申告する | 記入ミスしない |
法人化する | 期限内に手続きする |
不動産投資を始めたら確定申告する必要があるので、領収書などは必ずとっておきましょうね。
難しく感じますが、僕なんかでもできたので大丈夫ですよ。
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